持ち家を賃貸や売却するとはどういうこと?賃貸や売却のメリットやデメリットとは?
目次
家は一生に一度の大きな買い物です。
しかし最近では、子どもが大きくなり独り立ちして部屋が余るようになった・逆に足りなくなったなど家族形態の変化により住み替えをする人も増えています。
また、仕事上やプライベートな問題で思わぬ引っ越しが必要になったという人もいるでしょう。
そんなとき、現在所有する家はどうしますか?
売却して完全に手放すほか、賃貸として人に貸し出すという選択肢もあります。
賃貸と売却、それぞれのメリットやデメリットを紹介していきます。
そもそも持家を賃貸するとはどういうこと?手続きは?
持家を賃貸物件として人に貸し出すということは、つまり大家さん(オーナー)になるということです。
物件を所有したままのため、資産として持ち続けられます。
また、なんといっても家賃収入が見込めます。
近年の不動産投資の人気によりで賃貸経営に興味のある人が増えているようです。
【貸し方】
まずは貸すために、将来その家に住む予定があるのかをはっきりさせておきます。
たとえば期限付きの転勤の場合などは、貸す期限付きの『定期借家契約』という方法もあります。
将来を考え、自分がどのようにしたいのか目的を明らかにしておきましょう。
自分の所有する物件の賃料の相場を知りましょう。
ポータルサイトを利用するなどして、賃料の目安を立てましょう。
一般的には賃貸物件を取り扱う不動産会社と契約を結んで借り手を探します。
賃貸経営は素人には難しい部分も多いので、安心してお任せできる会社を選びましょう。
【貸した後】
大家さん(オーナー)として、経営に携わります。大家さんとしての仕事は
- 入居者の管理
- 日ごろの清掃
- 賃貸経営の収支管理
- 苦情や要望への対応
- 設備の修繕
- 家賃・敷金などの清算
- 入居者の募集
- 更新や退去に伴う収支管理
など多岐にわたります。
ほとんどの仕事は管理会社に任せることができます。
なので、ほかに仕事を持っている方でも賃貸経営を行うことは可能なのです。
ただし、入居希望者との契約の判断など、要所で経営者としての判断を委ねられます。
そういった判断を管理会社と相談しながら適切に行うことのできる方が賃貸経営に向いていると言えるでしょう。
賃貸に出すメリットやデメリットとは?
それでは、持ち家を賃貸するメリットやデメリットを解説していきます。
【賃貸するメリット】
先述したとおり、なんといっても家賃収入が見込める点が最大のメリットと言えます。
持ち家という資産を手放すことなく管理できるのも魅力の一つです。
また、管理は管理会社に任せることができます。
そうすることで、賃借人(家を借りる人)と直接の交渉をすることが無いので、管理会社を利用しない時と比べて心理的な負担は重くないでしょう。
期限付きの長期出張・転勤などの場合は、家を空き屋にすることがないため、安心と同時に家賃収入を得ることもできます。
信頼できる管理会社と出会えたことによって安定した賃貸経営をすることができた賃貸オーナーもいます。
経営のこと・物件の管理のこと・資産や税金のことなどの相談のできる、知識や経験の豊富な管理会社を選ぶことも成功の秘訣の一つでしょう。
所有する物件に住宅ローンの残債がある場合、一括返済が出来なくても『不動産投資ローン』に借り換えることで賃貸物件として貸し出すことが可能となるケースもあります。
【賃貸するデメリット】
実は、物件は貸し出すまで、さらに貸し出してからも費用が掛かります。
貸し出すまでには、第三者に貸し出せるくらいに修繕しなければなりませんし、ハウスクリーニングやリフォームをする必要があるかもしれません。
ここをきちんとしていないと借り手がつかない可能性もあるため、避けては通れません。
管理会社に任せる場合は管理費用の負担もあります。
また、空室の期間中にも管理委託費用は発生します。
不動産を所有しているので固定資産税や都市計画税も発生することを忘れてはいけません。
さらに、賃貸事業から生じる所得は、不動産所得として所得税・復興特別所得税、住民税の対象となるのです。
※復興特別所得税…第179回臨時国会において成立した「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき徴収される税金。平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、併せて源泉徴収される。
参照:復興特別所得税額とは何ですか。|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
このように、なにかとお金のかかる賃貸経営。
所有する物件が賃貸経営によってどれほどの利益が出るのか、借り手が見つからない場合や契約更新されない場合なども視野に入れる必要があります。
さらに、『不動産投資ローン』を借りる場合は、通常の住宅ローンよりも高金利なことが多いのが一般的です。
それを差し引いても余裕のある経営ができるのか、しっかりと見極めることが大切です。
持ち家を売却するとはどういうこと?手続きは?
つづいて、持ち家を売却する場合についてのお話です。
資産を売り、完全に手放すということです。
手続きとしては、不動産会社に見積もりを取り、持ち家のおおよその価値(価格)を知るところから始まります。
このとき、複数の不動産会社に見積もりを取った方がよいでしょう。
多くの人から所有する不動産への意見を聞くことは、販売価格を決定したり、『売り』となるポイントを定めたりするうえで視野を広げることとなり大切なことです。
立地や間取りなどの諸条件から販売価格を決め、不動産会社と売却の契約(媒介契約)を結び、売却活動に入ります。
媒介契約には3種類あります。
1.専属専任媒介契約
不動産会社1社だけに仲介を依頼する媒介契約で、契約を結ぶと他の不動産会社に仲介を依頼することはできません。
不動産会社が見つけた売却先としか取り引きすることができません。
契約期間は最大3カ月です。更新することができます。
2.専任媒介契約
専属専任媒介契約と同じく、不動産会社1社だけに仲介を依頼する媒介契約で、契約を結ぶと他の不動産会社に仲介を依頼することはできません。
異なるところは自力で探した買い手を見つけて不動産会社を介さずに契約できることです。
自力で買い手が見つかられる可能性が少しでもある場合はこの契約が有効といえるでしょう。
契約期間は最大3か月です。更新することができます。
3.一般媒介契約
同時に複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。
自力で探した買い手と不動産会社を通さずに契約することも可能です。
契約に有効期限はありません。
1、2の契約はREINS(レインズ)という国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムへの登録義務がありますが、3の契約ではその義務もありません。
REINSは不動産取引の基盤となるシステムなので、多くの不動産会社があなたの不動産の売却情報を目にすることとなります。
多くの人に売却活動を知られたくない場合などは3の契約が有利となります。
契約内容によっては自分で買い手を見つけることもできますし、不動産会社に売却を全面的に委ねることもできます。
買い手がついて、支払いや法的な手続きが済んだら、売却完了です。
売却のメリットやデメリットとは?
【売却のメリット】
資産を売却したら現金化できます。その現金をさまざまなことに運用することができるのが大きなメリットです。
建物は年数が経つにつれて劣化するので、そのメンテナンスのため維持費がかかります。不動産を手放すことによってその維持費が掛からなくなるのもメリットと言えます。
不動産を所有することによるいろいろな税金の心配もしなくてよくなります。
不動産は所有しているだけで毎年固定資産税や都市計画税が課税されるのです。
このように、不動産は持つことによってお金が掛かってしまうため、その負担がなくなるのは魅力的なメリットです。
通常、不動産を売って得た「売却益」には「譲渡所得税」が課せられます。
しかし、譲渡所得税には、「3000万円の特別控除」という特例が適用される場合があり、適用されれば譲渡所得税を抑えることができるのです。
居住用物件であること、など、いくつかの条件すべてにあてはまる必要がありますが、特例を利用できれば節税にもつながります。
【売却のデメリット】
不動産の売却は、一般的に、売却しようと思い立ってから買い手に引き渡すまでに査定や契約などの手続きが繁雑であったり、時間が掛かったりします。
すぐに買い手がつくとは限らないので、必ずしも自分の思うようなタイミングで手放すことができないということです。
また、不動産仲介業者に仲介手数料を支払う必要があるなど、負担も発生します。
思うように買い手がつかない場合、不動産の維持に費用が発生する場合も考えられます。
売却のタイミングにより価格が変動することもよくあります。
不動産の価格は、常に変動しているのが一般的です。
需要が多い時期になるべく高値で販売できるようなタイミングを見極めることや、上手に販売してくれる不動産会社にお願いすることができるかどうかも価格に反映される要因といえるでしょう。
一度手放した資産を取り戻すことは難しいため、どのように販売するのかをしっかり考えましょう。
まとめ
所有する不動産を賃貸するのか、売却するのか。
どちらにもメリットがあり、デメリットもあります。
自分にとってどちらのほうが利となるのか、都合がいいのか、十分に考える必要があります。
まずは所有する不動産の価値をしっかりと見極め、どうしていきたいのかをはっきりさせましょう。
自分を取り巻く状況や、不動産のおかれている現状を踏まえることも大切です。
例えば、所有している土地や建物を維持管理する人がいない場合や、将来的に利用する予定がない場合には、維持管理にかかるお金を払い続けるよりは、なるべく早いタイミングで手放してしまうのも良いでしょう。
また、相続人が複数いる場合の不動産も、不動産のまま遺産分割するよりも、現金化して分割する方が複雑にならずに済みます。
そして、不動産を相続したものの相続税を支払うための現金を持ち合わせていないときにも、売却を検討する余地はあるでしょう。
いずれの場合も、将来的な活用の可能性を踏まえた上で決定することが大切です。