こどもみらい住宅支援事業とは?注文住宅・分譲住宅の購入編

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こどもみらい住宅支援事業とは?対象者や条件や補助金の額は

住宅購入や住宅のリフォームに対して国や自治体などから補助金を受けられる制度はいくつかあります。例えば、地域型住宅グリーン化事業(長期優良住宅への補助金など)、すまい給付金、ZEH補助金などです。

2022年より本格実施となる省エネ住宅に対する補助金制度『こどもみらい住宅支援事業』もそのうちの1つです。202110月末に終了したグリーン住宅ポイント制度に代わる住宅取得の支援制度が今回の『こどもみらい住宅支援事業』です。その概要や補助金を受けられる条件などをまとめました。

目次

  1. こどもみらい住宅支援事業の概要
  2. 対象者は?
  3. 対象となる住宅の条件とは?
  4. こどもみらい住宅支援事業の対象となる期間
  5. こどもみらい住宅支援事業の補助額
  6. 手続き期間
  7. Q and A
  8. まとめ

こどもみらい住宅支援事業の概要

子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修等に対して補助することにより、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う負担軽減を図るとともに、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図る事業。(  国土交通省:こどもみらい住宅支援事業HP  より)

つまり、比較的年齢の若い夫婦や18歳より年下の子どもを育てる世帯が住宅を新築したり戸建てや新築分譲マンションを買ったりリフォームしたりする場合に、国が補助金を出すよという新しい制度です。

二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出(排出量から吸収・除去分を差し引いた量)を2050年にはゼロにしたいから、省エネ住宅に住んでくれる国民に補助をしてくれるというわけです。省エネ住宅を増やすのが目的ですね。

対象となるのは、①注文住宅の新築、②新築分譲住宅の購入、③リフォームです。

ただし、①、②は子育て世帯または若者夫婦世帯に限る、とされています。

子育て世帯とは:申請時点において、子(年齢は令和341日時点で18歳未満。すなわち平成152003)年42日以降出生の子)を有する世帯のことをさす。

若者夫婦世帯とは:申請時点において夫婦であり、令和341日時点でいずれかが39歳以下(すなわち昭和561981)年42日以降出生)の世帯のことをさす。

この制度、実は末永く続くものではなく、期限が決まっています。
詳しくは後ほど解説しますが、2022年秋ごろまでの申請が必要です。

また、こどもみらい住宅支援事業の予算は542億円です。予算に達しだい、期限にかかわらず締め切られます。

注文住宅・新築分譲住宅の購入とリフォームでは条件が少々異なります。
今回は、①注文住宅と②新築分譲住宅の購入の場合を説明します。

ちなみに、新築分譲住宅とはいわゆる建売住宅、新築分譲マンションのことです。

対象者は?

条件は2つあり、そのいずれも満たす方が対象となります。

・子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである

「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」はそれぞれ上で説明したとおりです。
年齢については、交付申請時点ではなく、あくまでも令和3年4月1日時点での判定となります。
例えば、令和3年4月1日時点で子供の年齢が17歳なら、交付申請時点で18歳になったとしても、その子を交付申請時点で有しているなら「子育て世帯」として補助の対象世帯となります。

・こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方

「こどもみらい住宅事業者」は消費者に代わり交付申請手続きを代行し、交付を受けた補助金を消費者に還元する者として、あらかじめこどもみらい住宅支援事業に登録をした住宅事業者です。
事業者登録は2022年1月に開始されました。

この補助金は住宅購入者に直接還元されるのではく、住宅事業者が住宅購入者の代わりに交付申請等の手続きを行い、交付を受け住宅購入者に還元する、という形をとります。

申請するのは住宅購入者ではなく住宅事業者なので、制度を利用したい場合は登録をしている住宅事業者かどうかの確認を必ず行いましょう。
こどもみらい住宅支援事業のホームページから「子ども住宅事業者」が検索できるようになっています。

こどもみらい住宅事業者の検索 | こどもみらい住宅支援事業 (mlit.go.jp) 

こどもみらい住宅支援事業の対象の物件の条件は

対象となる住宅の条件とは?

対象となる住宅の条件が6つあります。以下の6条件の全てにあてはまる必要があります。

①所有者(建築主)自らが居住する

「居住」は、住民票における住所(居住地等)がそこであるということです。住民票の住所で確認します。

完了報告という入居後の報告で、対象住宅に入居したことが確認できる住民票の写しを求めます。
申請時の住所ではないのでご安心ください。

②土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する

「土砂災害防止法」とは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)です。
土砂災害特別警戒区域とは、イエローゾーンと呼ばれ、自治体の発行するハザードマップやインターネットで確認できます。

国土交通省:各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域

③未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの

「完成」は、完了検査済証の発出日で確認します。
「人の居住の用に供したことがない」とは、住宅の完成後にまだ誰も住んだことがない、という意味です。

④住戸の床面積が50㎡以上である

「床面積」とは、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算定されます。
なお、吹き抜け、バルコニー及びメーターボックスは除き、階段下のトイレ及び収納等の面積を含めます。

⑤証明書等により、下のいずれかに該当することが確認できる

ZEHNearly ZEHZEH ReadyZEH Oriented住宅】

強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅のことです。
なお「ゼロエネ相当」は強化外皮基準に適合しないため対象外となります。

【高い省エネ性能等を有する住宅】

次のいずれかの性能を有する住宅

  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素住宅
  • 性能向上計画認定住宅

【一定の省エネ性能を有する住宅】

品確法に基づく日本住宅性能表示基準(平成 13 年国土交通省告示第 1346 号)で定める断熱等性能等級4 かつ 一次エネルギー消費量等級4の性能を有する住宅。

建築物省エネ法に基づく省エネ基準への適合をこどもみらい住宅支援事業の要件とするため、品確法で定める断熱等性能等級4の基準のうち、結露の発生を防止する対策に関する基準を満たさない住宅も対象です。

住宅性能については、住宅性能評価機関や第三者機関などの証明書と建築士による説明書が必要です。

⑥交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる

以下の1、2のいずれかの方法で確認します。建築士による証明書が必要です。

1.基礎工事(杭基礎の場合は杭工事)の完了

2.省エネ性能等に応じた住戸あたりの補助額に総戸数を乗じた金額以上の出来高の工事完了

建築工事の契約金額(税込)×出来高(%)≧ 住戸あたりの補助額×総戸数

こどもみらい住宅支援事業の申請期間や補助金の額とは

こどもみらい住宅支援事業の対象となる期間

こどもみらい住宅支援事業は期間の決まっている事業です。意外と短いので、注意してください。

①注文住宅の場合

【工事請負契約の期間】

20211126日 ~ 建築着工まで

【建築着工の期間】

こどもみらい住宅事業者の事業者登録以降
※事業者登録は20221月に開始されました。

【基礎工事の完了(工事の出来高)】

建築着工 ~ 交付申請まで(遅くとも20221031日)

②新築住宅購入の場合

【建築着工の期間】

こどもみらい住宅支援事業の事業者登録以降
※事業者登録は20221月に開始されました。

【不動産売買契約の期間】

20211126日 ~ 交付申請まで(遅くとも20221031日)

【基礎工事の完了(工事の出来高)】

建築着工 ~ 交付申請まで(遅くとも20221031日)

こどもみらい住宅支援事業の補助額

気になる補助額です。対象の住宅の性能に応じて異なり、3種類あります。

ZEHNearly ZEHZEH ReadyZEH Oriented住宅】100万円

【高い省エネ性能等を有する住宅】80万円

【一定の省エネ性能を有する住宅】60万円

手続き期間

【交付申請の予約】20223月ごろ~遅くとも2022930

【交付申請期間】20223月ごろ~遅くとも20221031

【完了報告期間】

交付が決定し、補助対象の建物の工事が完了し、入居したら、完了報告を行います。補助対象の建物に応じて期間が異なりますのでご注意ください。

〇戸建住宅 交付決定 ~ 2023531

〇共同住宅等で階数が10以下 交付決定 ~ 2024215

〇共同住宅等で階数が11以上 交付決定 ~ 20241231

こどもみらい住宅支援事業は他の補助金と一緒に受けられるか税金はかかるのか

Q and A

Q.ほかの補助金事業と重複して受けられるのか

A.原則として、同じ補助対象に対して(同じ家に対して)国の他の補助制度との併用はできません。なお、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能とのことです。新築住宅については、住宅の本体工事の全部又は一部、住宅の取得を対象とする国の他の補助制度との併用はできません。

代表的な補助制度との併用の可否◆

【併用可】

  • すまい給付金
  • 住まいの復興給付金
  • 外構部の木質化対策支援事業
  • 住宅ローン減税等の税制優遇
  • 被災者生活再建支援制度
  • 解体工事への補助  

など

【併用不可】

  • 地域型住宅グリーン化事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における  低炭素化促進事業
  • 市街地再開発事業への補助
  • サステナブル建築物等先導事業 

など

Q.再申請について(補助額の変更)

A.交付決定された申請を一度取り下げて、再申請することはできません。
十分に住宅事業者と申請内容を確認してから申請をお願いしましょう。

Q.補助金は課税対象となる?

A.こどもみらい住宅支援事業による補助金は、所定の手続きにより所得の参入から除外できる場合があります。
また、住宅ローン減税等を併用する場合、住宅の取得価格等から控除する必要があります。
詳しくは、事業者や税務署等にご確認ください。

こどもみらい住宅支援事業の補助金額や条件や税金はかかるのかまとめ

まとめ

こどもみらい住宅支援事業の注文住宅・新築住宅購入の場合についてまとめてみました。

条件が多く、対象期間や手続き期間なども決まっておりややこしいですね。
申請については住宅事業者が行うものですが、きちんと確認して挑みましょう。

グリーン住宅ポイント制度と比較すると、現金での還元で金額も高いためお得感が高い印象の『こどもみらい住宅支援事業』。

補助金のために購入を決定するのでは本末転倒です。
家を立てた後、購入した後の幸せなマイホーム生活に対するささやかなプレゼント程度に考えると良いでしょう。