住宅購入などに関わる税金の種類と優遇税制を学ぼう
目次
住宅を購入するにあたっての支払いは、物件価格だけではなく諸費用や税金が絡んできます。
諸費用は一時的な支払いで済むことが多いですが、税金は購入時だけでなく購入後、さらには手放す際にも負担しなければなりません。
どういった税金が住宅購入に関わってくるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は住宅に関連する税金をテーマに、優遇税制なども少し加えながら基礎的な知識をお伝えしたいと思います。
住宅関連の税金に関する基礎知識
一般的に住宅関連の税金でパッと思い浮かぶのは、
- 消費税
- 相続税
- 贈与税
といったところではないでしょうか。
しかし住宅に関わる税金は、大きく分けて5つのケースで支払いの負担が発生します。
- 購入(取得)
- 保有
- 売却(譲渡)
- 相続・贈与
- 経営
マイホームに関しては1~4までが関わります。
まずは住宅に関わる税金の種類を見てみましょう。
税金の種類
税金には、
- 国税
- 都道府県税
- 市町村税
の3つのカテゴリーに分けられます。
住宅に関わる税金をカテゴリーで一覧表にしてみました。
国税 | 都道府県税 | 市区町村税 |
所得税、登録免許税、贈与税、相続税、印紙税、消費税 | 住民税(※)、不動産取得税 | 住民税(※)、固定資産税、都市計画税 |
※住民税は県民税と市民税のように分けて課税されます。
住宅購入に所得税は関係あるのかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、これは住宅ローン減税(優遇税制)に関わってくるために表記しています。
納税の方法
国税の納付方法は、以下のいずれかで可能となっています。
- 金融機関や所轄の税務署
- コンビニエンスストア
- クレジットカード
- 振替
- e-Tax
- インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATM
- 延納または物納
住宅に関わる国税には、収入印紙で納付する税金もあります。
- 登録免許税(3万円以下の場合)
- 印紙税
都道府県税や市区町村税については、各自治体で納付方法を確認するようにしてください。
※出典:国税の納付方法:財務省
住宅の取得に関わる税金
住宅を取得するケースとしては、
- 購入
- 相続
- 贈与
があります。
それぞれのケースで簡単に説明します。
購入や新築のとき
購入の場合は新築と中古がありますが、特にかかってくる税金に違いはありません。
関係する税金は、
- 所得税
- 住民税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 印紙税
- 固定資産税
- 消費税
- 贈与税
になります。
所得税、住民税、贈与税が、なぜ住宅購入に関係するのか不思議に感じる人もいると思います。
所得税と住民税は住宅ローン減税を適用した場合に有利に働くため、関係ないとは言えません。
贈与税については、住宅資金を親から借り入れしたものの返さない場合は、税務上は贈与と判断されるため挙げておきました。
相続するとき
相続で関係する税金は、
- 登録免許税
- 相続税
になります。
登録免許税は所有権の保存や移転の登記の際に発生する税金です。
相続税は財産を相続した際に発生する税金で、誰もがその存在を知っていることでしょう。
贈与するとき
贈与で関係する税金は、
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 贈与税
になります。
登録免許税がかかる理由は前述した通りで、不動産に関わる場合は切っても切れない税金であることがわかると思います。
住宅の保有に関わる税金
物件を保有しているときには固定資産税がかかります。
毎年1月1日現在で不動産(固定資産)を持っている者に対して課税されることになっています。
税金の種類は市区町村税です。
固定資産税のしくみ
固定資産税は固定資産税評価額を基に計算されます。
さらに固定資産税は3年ごとに見直しが実施されますが、税額の軽減措置なども実施されます。
税額の計算は式は以下のとおりです。
税額=課税標準×1.4%
1.4%は標準税率ですが、税率は市区町村で自由に設定できることになっています。
しかし住宅購入時の予算を固定資産税まで見積もりしておきたい場合は、税率は1.4%で見ておいて良いでしょう。
なお、固定資産税の納税額は、納税義務のある者に対して住まいのある役所から通知されます。
納税は住宅を取得した当年度からではなく、翌年の4月以降から1年度分を支払います。
支払い時期は一般的に6月、9月、12月、2月で、分割で支払うのが通例です。
分割払いだとしても割引などはなく、納税手続きが面倒だと思うならば一括で支払う方法もありますので確認してみましょう。
住宅の売却(譲渡)に関わる税金
住宅を売却するときにかかる税金は、
- 印紙税(売買契約書、領収書など)
- 登録免許税(抵当権抹消)
- 消費税(仲介手数料)
になります。
売買契約書は課税文書であり、売買金額によって印紙税も納税額が変わります。
印紙税は収入印紙を貼ることで納税が完了するため、初めての人は戸惑うかもしれません。
登録免許税は登記簿謄本から抵当権を抹消する際に発生します。
抵当権とは、銀行が住宅ローン融資の際に、住宅を担保として設定する権利です。
ある意味、ローンの利用者は融資の条件として、住宅を銀行へ一時的に預ける格好になります。
抵当権を抹消する手続きが必要なのは、
- 住宅(不動産)の売却
- 住宅ローンの完済
- 相続
になります。
消費税は売却の手続きを依頼した不動産会社への仲介手数料にかかります。
譲渡益に関わる税金
住宅を売却した際は、ほとんどのケースで譲渡所得が黒字つまり売却益(譲渡益)が発生し、所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。
税額の計算は、
- 譲渡所得=売却時の価格-(取得費+譲渡費用)
- 課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
- 税額=課税譲渡所得×税率
によって求められますが、所有期間によって課税方法が異なります。
また特例などもあるためシミュレーションは難しくなるケースが多いです。
優遇制度の特例適用期限
住宅購入などで税金の負担を軽減する優遇制度は充実しています。
実施中の特例やその適用期限をまとめました。
現時点で適用期限が早く迫っている優遇制度の順番となっています。
優遇制度 |
適用期限 |
備考 |
フラット35S |
2021.03.31までの申込み受付分 |
2021.1変更予定 |
グリーン住宅ポイント制度 |
2021.10.31までの契約 |
新設 |
住宅ローン控除 |
2021.12.31までの入居 |
|
すまい給付金 |
2021.12.31までの実施 |
|
住宅取得等資金贈与の特例 |
2021.12.31までの贈与 |
|
譲渡損失の繰越控除 |
2021.12.31までの譲渡 |
|
買い替え特例 |
2021.12.31までの売却 |
|
固定資産税・都市計画税の特例 |
2022.03.31までの竣工 |
|
登録免許税の軽減 |
2022.03.31までの登記申請 |
住宅家屋 |
印紙税の特例 |
2022.03.31までの作成文書 |
|
既存住宅のリフォームに係る特例措置 |
2022.03.31までの工事分 |
|
長期優良住宅普及促進のための特例 |
2022.03.31まで |
登録免許税 不動産取得税 固定資産税 |
買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置 |
2022.03.31までの実施 |
登録免許税 |
低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置 |
2022.12.31までの譲渡 |
所得税 個人住民税 |
買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置 |
2023.03.31までの実施 |
不動産取得税 |
登録免許税の軽減 |
2023.03.31までの登記申請 |
土地 |
不動産取得税の軽減 |
2024.03.31までの引渡分 |
|
3000万円特別控除 |
期限なし |
新設のグリーン住宅ポイント制度とは
グリーン社会の実現および地域における民需主導の好循環の実現等に資する住宅投資の喚起を通じて、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の回復を図るため、一定の性能を有する住宅を取得する者等に対して、「新たな日常」及び「防災」に対応した追加工事や様々な商品と交換できるポイントを発行する制度です。
取得したポイントは、一定の要件に適合する商品および追加工事に交換が可能です。
【一定の要件に適合する商品】
- 「新たな日常」に資する商品
- 省エネ・環境配慮に優れた商品
- 防災関連商品
- 健康関連商品
- 家事負担軽減に資する商品
- 子育て関連商品
- 地域振興に資する商品
【一定の要件に適合する追加工事】
- 「新たな日常」に資する追加工事
- ワークスペース設置工事
- 音環境向上工事
- 空気環境向上工事
- 菌・ウイルス拡散防止工事
- 家事負担軽減に資する工事
- 防災に資する追加工事